ゆっくり、話そうか。
「ナイスキャッチ…ね。可愛い人ってああいうのをいうのかな」

日下部がおやつをキャッチした時のやよいが脳裏に過る。
さっきは罪悪感のようなものが割り込んできて押し込めたが、次は無理に押し込める事もせず、気付けば自然に口から漏れていた。
それほど表情がころころ変わり、苛立っている顔も喜ぶ顔も子供とは違う女性的な可愛らしさであることは否定できなかった。

「けど口は悪い」

そう言うと、街灯の少ない道を歩き始めた。
無事に帰ってればいいけど、と、やよいのことをほんの少し心配しつつ。









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