最後の世界が君でよかった
ちょっと読んだだけで視界が滲んで、最終的には便箋が濡れた。

なんで…

いつの間に?

いつ書いてたの?

だいぶ前?

そんな前から自分はいなくなるって分かってたの?

覚悟してたの?

そんな辛い思いなんで1人で抱え込んでたの…

たくさん迷惑かけたって思ってるなら、最後まで迷惑かけ続けなよ…

てか、迷惑なんてこれっぽっちも思ったことないよ

迷惑をかけ続けてたのは私の方だよ?

「ごめん」も「ありがとう」も私の方がいっぱい言わなきゃいけないのに、なんで言う前に私の前からいなくなっちゃうの…?

翔太は伝えたいこと全部じゃないかもしれないけどたくさん伝えたのに、なんで私には伝えさせてくれないの?

私だって翔太に伝えたいことたくさんあったんだよ?

もっと翔太と一緒にいたかった。

もっと、もっと、もっと…

何をするにしても翔太と一緒になんだよ?

だから、いなくならないでよ…

やっぱり、翔太は私のこと1番よく知ってくれてるね。

なのに、私は翔太のこと全然知ってあげられてなかったね。

ごめんね。

翔太への思い、一生懸命我慢して、蓋をして、必死に頑張ってきたのになんでこんなこと言っちゃうのかな?

これじゃ、翔太のこと好きでい続けるしかないじゃん。

忘れなくていい。

ずっと思ってていい。

ってことだよね?

私はそう解釈するから、嫌だって言っても聞かないよ?

今までみたく、「わかったよ」なんて言わないからね?

でも、翔太は私のこと1番よく知ってくれてたけど翔太が私に好きって言ったら迷惑になるって思ってるなんて、翔太も私のことまだ知らないことあるね。

迷惑になるわけないじゃん!

だって、ずっと好きだったんだよ?

翔太のことしか考えられてないんだよ?

だから、他の誰かと幸せになるなんて無理だよ。

私には翔太しかいないんだ。

だから、誰かと一緒に幸せになることはできないかもしれない。

でも、私は翔太が私にくれた思い出と私の心でずっと生き続けている翔太と一緒に幸せになるね。

翔太の心にも私がずっといてくれればいいな。

そんなことを思いながら、翔太からの手紙と幼い時に撮った翔太との写真が入っている額縁を胸に抱きながら瞼を下ろした。
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