冬の夜、君と2人で。


「これからどこ行く?」

冬夜くんにそう聞かれ、私は「うーん」と唸る。

今回の目的は、クリスマスプレゼントだ。

それなら、そこら辺のデパートとかの専用コーナーみたいな所に置いてるんだろう。

だけど、ありすぎてどこに行けばいいのか分からないのだ。

そう考えながら、2回目となる「うーん」が出る。

私が悩んでいることが伝わったのか、冬夜くんが、近くにあるショッピングセンターを指さして、

「たとえばさ、あそことか行ってみる?」

との助言を頂いた。

冬夜くんが指さした所は、つい最近できた場所で、お洒落な店が多いそう。

「今日はたっぷり時間あるし、色んな所行きたいな」

冬夜くんはそう微笑む。

その言葉に、私は静かに頷いた。

それを確認すると、冬夜くんは「ん」と、手をそっと出す。

私がいきなりの事に困惑していると、

「ほら、はぐれちゃったらいけないし。人も多いしさ」

あぁ、なんだ。そうだよね。

一瞬がっかりしてしまったけど、手を繋ぐのは恥ずかしい。

けど、差し出された手を掴まないという選択肢もない。

私は恥ずかしさと格闘しながらも、そっと冬夜くんの手を掴む。

私の気のせいか、それか幻覚なのか。

手を繋いだ時、冬夜くんの耳が一瞬、紅くなっているように見えた。

けど、そういう反応をして欲しい私の心が見せた幻覚だ。本当な訳がない。

そんな思わせ振りな事して。

勘違いしたら、どうすんの……。

私は、紅くなった顔を隠すように、地面を見るように俯いた。
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