大学教授と学生の恋の行方は‥
■エピローグ それから
さらに月日は流れ、宮本主任教授が退院してから5年が過ぎた。

あれから宮本主任教授と順子がどうなったかというと、2人は身内だけの小さなパーティを開いてから席を入れ、宮本主任教授の家で暮らし始めた。

宮本主任教授は65歳で退官したのち、周りの人たちの推薦もあって病院長になった。宮本院長としても手腕を発揮し、大学病院にさらなる繁栄をもたらした。だがそれも先日、70歳を迎えて、完全な引退宣言をしたばかりだ。
これからは、医師としてではなく、1人の男として、1人の夫として生きていくことを改めて決めた。

順子はというと、医師国家試験にストレートで合格し、医師になった。ただ研修医としての期間が終わる間際に妊娠が発覚。もちろん父親は宮本だ。まさか妊娠をするとは思っていなかったので、順子も宮本も驚いたが、順子が「絶対に産みたい!」と言うので産むことになった。

そして現在、順子は1歳の男の子と、先日再び妊娠3か月であることがわかり、2人目の子どもをお腹に宿している。

「まさか、この年になって2児の父親になるなんてな」
「パパはこれから育児で大変な毎日を過ごすことになるのよ」
「ははは、それは嬉しいことだよ」

ベッドで眠っている我が子をあやしながら、宮本は微笑んだ。
順子はキッチンでお茶を入れながら宮本を見る。

「今度は女の子かな? それとも男の子だと思う?」
「どうだろうね。でも僕は、順子との子どもならどちらでも深く愛せる自信があるよ」
「ふふ。そう。でも、女の子だったら、パパが溺愛しそうで怖いけど。だって、男親は娘の方が可愛く見えるって言うじゃない?」
「それは……否定できないな」

順子はトレイにコップを2つ乗せて、宮本の傍にあるテーブルの上に置く。

「そうそう、私のお母さんが、明日ここに来るって。孫の顔も見たいって言ってた」
「そうか。わかった、じゃあ部屋の片づけをしておこうかな」

順子の母親は、2人の婚約を知って反対をするかと順子は思っていたが、全く反対はしなかった。順子の半年における闘病生活で、娘がどれほど本気なのかが伝わっていたからだろう。

だから今では、順子の母親も2人の家族を温かく見守ってくれている。

順子は、座っている宮本の方に寄り掛かる。

「この子たちには、たくさんパパの凄いところを伝えていかないとね」
「どうして?」
「だって、おうちにいるパパはきっと優しすぎるパパに見えちゃうだろうから、偉業を成し遂げた、凄い医師だったんだよって伝えたいじゃない。私は子どもたちにも、パパを尊敬してほしいから」
「順子……僕は、君が傍にいるだけで幸せなのに」
「ダメよ。パパはもっと欲張りにならないとね」
「ふふ、そうか……全く、そんなことを僕に言ってくれるのは順子だけだよ」

2人はお互いに寄り掛かりながら、スヤスヤと眠る息子を幸せそうに見つめたのだった。
< 16 / 16 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

先生と生徒の関係は卒業まで

総文字数/9,035

恋愛(純愛)5ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
先生そして生徒の関係は、きみが卒業するまで。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop