溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。
「……勘違い……させないでください!」


ひゅーと上がった花火。

なんだか視界がぼやけてる。


ああ、私泣いてるのか。


「勘違い……?真白ちゃん。よく聞いて欲しい」

「……?」

「……僕は……僕は、真白ちゃんが好き」


ドーンッ!!


花火が大きな音を立てて開花する。



「……へ?」

「僕、ずっと前から真白ちゃんが好きだった」


しゅっと変装を取った先輩。


メガネで隠れていた目の下の頬があらわになる。

なんだか真っ赤で、照れているようにも泣いていたようにも見えてしまった。


「っ……。先輩、からかってないですか……?」

「うん、からかってない。っていうか、いままで全部本当にからかってなんてなかった。ずっと、可愛いと思ってたよ」

「っ……!」


この人は、どこまでずるければ許せるのだろうかっ……。


「……バカっ……」

「あ……泣かないで」


頬を撫でるように私の涙を拭う先輩。


「……私も、好き……ですっ……」

「……え?」

「えっ……?な、なんで驚くんですか!?」


まさか、やっぱり嘘だったの……!?


「い、いや……ごめん……嬉しい」


私の手首をやっと離した先輩は腕で自分の口元を隠している。

……もしかして、照れてる……?

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