溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。
……蒼に、抱きしめられてるっ……?


「……ほら、泣けよ。こうしたら見えねぇだろ?」

「っ……!ありが、とうっ……」


蒼は、本当に小さな頃からいい子だ。


どうして、そんなに優しくしてくれるんだろう……。


「あー。ほら、よしよし」


蒼に撫でられる頭が心地いい。


……先輩と、もうすぐ私、別れちゃうのかな……?


そんなことを考えると、またたくさんの涙が溢れそうになる。

けど、蒼の優しさにもまた涙が出そうになる。


……ああ、もう先輩がいなくても、莉奈ちゃんと蒼という友達がいれば、私は平気になってしまうかもしれないなんて。


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