溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。

私はただ都合のいい

数日後。


先輩とは、連絡をしばらくとっていない。


……そして。


いま私の目の前に、小華井先輩がいる。

屋上に呼び出されてしまったのだ。


「……話って、なんですか」

「実はね。私、佐伯先輩の婚約者に候補したの」


……え?

先輩の、婚約者に候補?

婚約者なんて……私、聞いていない。


というか、いくら千星先輩がお金持ちだからと言って、こんな歳で婚約ってするものなの……?


「……けど、それは取り下げられた」

「え……?」

「……アンタは知らないだろうけど、佐伯先輩の婚約者はアンタなのよ」

「……へっ……?」


千星先輩の婚約者が、私……?


「まだ言ってないみたいだけど、私たち金持ちの間じゃ有名よ?」


そ、そんな……。

先輩と私が、婚約……?

たしかに先輩とはずっと一緒にいたい。


けれど、私と先輩では身分がちがいすぎる。


だから……きっと、先輩が婚約するのであれば、片想いしていたと言う人か、お金持ちの人だと思う。


「……本当……ムカつくわね」

「えっ……?」

「しょーじきいって、アタシはあの佐伯先輩、顔と財力しか見てないから」

「なっ……」


か、悲しい……。

い、いや……彼女として、よかったと言うべきなのかな……?
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