溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。
……にしても、いま先輩がどんな顔してるのか、ものすごく気になっちゃうっ……!!


「見たいです」

「だ、だめ」

「んー……」


やっぱり気になるし、先輩には十分からかわれたからいいよね。


そう思って、先輩の正面に回った私。


「あっ……」


先輩は口元を腕で隠していてもわかるほど、顔が真っ赤だった。

耳も真っ赤で、なんだかりんごみたいに。


「だ、だから見ないでって」

「ご、ごめんなさいっ……でも、気になっちゃって……」

「っ……あー。はいはい」

「わっ!?」


腕を引かれて、ぎゅっと抱きしめられてしまった私。


「……最近、真白ちゃん不足すぎて死んじゃうかと思った……」

「えええっ……!?」


なんだか、すごい甘える声のトーンで私にそう言う先輩。

……愛されてるなって……思っちゃった。


「……ねぇ真白ちゃん」

「……?」

「勘違いさせちゃって、ごめんね」

「えっ……?」


勘違い……?


「……僕の言ってた、ずっと片想いしてる幼なじみって、真白ちゃん、の、ことなんだ……」


照れ臭そうにそう言った先輩。


「わ、たし……?」


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