溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。
「ふふっ、うん」


私の両手をぎゅっと握りながら、愛らしい笑みを浮かべてそう言う先輩。


なんだか、ケモ耳と尻尾が生えてるみたい……。


「真白ちゃんは、覚えてないかもしれないけど———」

「あ、あのっ……ずっと言ってなかったけど……先輩のこと、多分、覚えてます!」

「……え?」


そう言った瞬間、先輩の目が赤くなる。


「せ、先輩……?!?」


な、なんだか泣いちゃいそうっ……!!

ど、どうしよう……!?


「ほ、本当に覚えてるの?」

「じ、実は……最近、先輩に似た男の子が、夢に出てきたり……先輩と姿が重なったりして……」

「あああ……ごめん、めちゃくちゃ嬉しい」


偽りもなく先輩は微笑む。

なんだか儚いけれど、ものすごく幸福そうに。


「……真白ちゃんのこと、小さい頃からずっと想い続けてきたから……嬉しくて……」

「えへ、へっ……私も、嬉しいです」

「真白ちゃん……可愛い……」


再びぎゅっと抱きしめられる私。


「本当、ごめんね。僕、ちょっと思い出して欲しいと思って」

「いえ……私こそ、ごめんなさい」

「じゃあ、仲直りしよう?」

「はい!」


すると、小指を差し出された私。


私も小指を出すと……。

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