仮面王子とのメモワール
切長の二重に、通った鼻筋。薄い唇。
そして、私を捉えた色素の薄い瞳。
あの頃とは違って、髪はダークブラウンに染まっている。
顔のパーツひとつひとつは変わっていないはずなのに、全体的にかなり大人びたその姿。
あの頃とはまるで別人のようにすら見えるのに、私を瞳に捉えたときの表情はまるで変わってなかった。
足音が、こちらへ近づいて来る。
昨日なかったはずの隣に、急に椅子と机が出現してる時点でおかしいとは思っていた。
ガタン、と椅子を引く音が聞こえて、緊張が走る。
「久しぶり、蓮見さん」
「……っ!」
私の隣に座った彼は、何の動揺もなく私にそう言った。
な、に、考えてるの……。
一瞬頭がパニックになりかけたけど、フーッと息を吐いて冷静さを取り戻す。
「……うん、久しぶり。早川くん」