仮面王子とのメモワール


切長の二重に、通った鼻筋。薄い唇。

そして、私を捉えた色素の薄い瞳。

あの頃とは違って、髪はダークブラウンに染まっている。


顔のパーツひとつひとつは変わっていないはずなのに、全体的にかなり大人びたその姿。


あの頃とはまるで別人のようにすら見えるのに、私を瞳に捉えたときの表情はまるで変わってなかった。



足音が、こちらへ近づいて来る。


昨日なかったはずの隣に、急に椅子と机が出現してる時点でおかしいとは思っていた。


ガタン、と椅子を引く音が聞こえて、緊張が走る。



「久しぶり、蓮見さん」

「……っ!」


私の隣に座った彼は、何の動揺もなく私にそう言った。



な、に、考えてるの……。

一瞬頭がパニックになりかけたけど、フーッと息を吐いて冷静さを取り戻す。



「……うん、久しぶり。早川くん」

< 3 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop