雨降る日のキセキ
「翔吾っ!!!!」


辺りは血の海だった。


翔吾の頭から血が流れ出て止まらない。


「翔吾!?!?」


千隼くんを始めとする部員も駆けつけ、騒然とする階段前。


翔吾の意識はなかった。


「あ…ぁ…、あ……」


私、知ってる…。


この光景…、知ってる……。


フラッシュバックする昔の記憶。


目の前で血を流して倒れている翔吾と重なる朝陽くんの姿。


私の目の前で、血まみれになっているあの姿―。


足元には紺色の傘が落ちていた。


私は、朝陽くんが死ぬ瞬間を、目の前で見ていたんだ―。


「いや……っ!!」


死んじゃヤダ…っ。


お願い死なないで…っ。


「いやだ…っ」


「千紘、救急車!!千紘!!」


お願い…っ、いなくならないで……。


「いや…っ」


広がり続ける赤い水溜り。


ポツリ…ポツリ…


雨が落ちてきた。


あの日も、雨だった―。
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