雨降る日のキセキ
「千紘!!お前しかスマホ持ってねぇんだから!」


いや……


死んじゃヤダ…っ。


「おい!!!聞いてんのかよ!!!スマホ貸せ!」


千隼くんが私のジャージのポケットを探る。


「あ……ごめ……」


震える手でスマホを渡す。


どうしよう…。


どうしよう……っ。


「翔吾…っ」


翔吾が死んじゃう…っ。


「やだよ…っ!!翔吾…!!!」


「悪い、救急車呼んどいて」


千隼くんがその場にいた部員にスマホを押しつけ、私の肩を抱く。


「1回落ち着け、千紘。ちょっと向こう行こう。な?」


千隼くんが私を無理やり遠くへ連れて行こうとする。


「やだ…!!!翔吾が…っ!!」
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