雨降る日のキセキ
「んなの俺が勝つに決まってんじゃん」


最初は戸惑ってた千隼くんも、乗り気になったのかニヤニヤしながら軽く準備運動をしている。


「そんなのやってみないと分かんないでしょっ」


「まぁなぁ。じゃ、先やっていいよ」


…とかいって、別に自信があるわけじゃないんだけどね。


出てきたボールをパネルめがけて投げる。


フォームは朝陽くんから教えてもらったことを意識。


「お、やるじゃん」


1球目で①を射抜くと、続いて⑤⑧⑥も当たり、結局9球で7枚当てることができた。


この結果には自分もビックリだ。


「意外と運動神経いいんだな」


「“意外と”?それは聞き捨てならない言葉だなぁ」


「まぁまぁまぁ」


「ホントに私に勝てる?」


「俺をナメんな」


楽しそうな表情から一転、練習中と変わらない真剣な表情に切り替わる。


いつもと変わらない綺麗なフォーム。


腕の振りや投げ方は軽いけど、狂いのないコントロールで次々とパネルに当てていく。


「すっご…。パーフェクトじゃん…」


9球で9枚すべてのパネルを射抜いたコントロールの良さ。


「千隼くんすごいね」


まさかここまでコントロールが良いと思ってなかった。


本当にすごいピッチャーだ…。 
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