雨降る日のキセキ
安藤は語った。


兄貴を轢いたトラックの運転手が安藤の父親だったということを。


“あたしはパパから聞かされた。男の子に突き飛ばされた少年を撥ねてしまった、男の子が突き飛ばさなければ撥ねることはなかった、って。その男の子ってアンタでしょ?名前聞いてすぐに分かったわ”


“…違う。あれは飲酒運転だった!突き飛ばしたのは事実だけど、車道には突き飛ばしてない!歩道に乗り上げてきたのはトラックの方だ!”


“知らないわよ!!アンタが突き飛ばさなければパパは殺人罪には問われなかった!!アンタのせいよ!!!だからあたしはアンタに近づいてすべてを奪おうと思った!どう!?自分のせいで相棒が怪我した心境は!次は千紘よ!そのあとは野球部丸々壊してやるんだから!!”


“どういう意味だよ!”


“そのままの意味よ。それと、千紘の初恋の人ってアンタが殺した兄なんでしょ?バラされたくなければあたしの邪魔はしないこと。わかった?”


安藤は一方的に捲し立てて去っていった。


安藤が言ってることはただの逆ギレだ。


そう言いたかったけど、俺が突き飛ばさなければ兄貴は死ななかった。


それもまた事実だから、何も言えないんだ。


俺が兄貴を殺したことに変わりはないんだから―。
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