呪われた令嬢はヘルハウスに嫁ぎます!
第五章 後日のエレガントな日常
あれから二週間は経つ。
陛下は持ち直したみたいだが、おそらくもっても2~3年だろうと言われている。
ニール様は、あのあとにアーシャ様と隣国へと帰ったらしい。
そして、私は困ったことが起きていた。
旦那様は心配しすぎたせいか、過保護になってしまっている。
その過保護に拍車がかかってしまったのは……目が覚めて3日目のことだった。
ヘルハウスを旦那様と歩いている時に、ジュリア様が私を脅かした時から始まる。
『よーこーせー!』
「きゃぁーー!?」
夕食後にサロンでお茶を頂いたあとに、旦那様と部屋に戻る途中。ジュリア様が後ろから急に脅かしてきたのだ。
急なことに驚き、足がもつれ転んでしまう。
旦那様は慌てて持っていたお茶を、トレイごと床に置き、大丈夫か? と起こそうとすると、私の魂が抜け出てしまっていた。
幽体離脱らしい。
「リーファ!?」
『……旦那様……』
そして、旦那様を求めて虚ろに彷徨おうと始めた時に、旦那様が慌てて私の身体に幽体を戻した。
「リーファ!? 大丈夫か!?」
「私……何を?」
一度魂が抜け出たから、まだ定着してないのでは!? と旦那様は私を見て言った。
「ジュリア! リーファを脅かすのは禁止だ!」
『えー! だってまだご褒美をもらってないわ!』
「リーファが落ち着くまで無理だ! 探しにいけないだろ!」
「旦那様、ご褒美とは?」
『ガイウスよりもいい男をもらう約束をしたのよ!』
「旦那様より素敵な方がいますかね?」
旦那様は呆れたように困っていた。
「とにかく! リーファが落ち着くまではダメだ! 留守中に何かあればどうするんだ!」
『ひどいわ! ガイウス! 私頑張ったのにー!』
ジュリア様はピューと飛んでいった。
その日から、過保護な旦那様に軟禁状態になり、ヘルハウスからの外出は禁止になってた。
そして、二週間たった本日。
呪いが解けて、日中も起きていられるようになり、玄関ホールの花瓶に花を生けていた。
「結構綺麗にできたわよね」
旦那様は、地下で私の幽体が安定するための魔法薬を必死で作っている。
花瓶の花が終わったから、お茶にそろそろ呼びに行こうか、と思うと誰かがヘルハウスを訪ねて来た。
「どちら様ですか?」
玄関を開けると、そこにいたのは、アーサー様だった。
しかも、花束を両手で持っている。
アーサー様が旦那様に花束なんかプレゼントするわけない!
まさか、まだ私を諦めずにきたのかしら!?
「リーファ……良かった。無事とは聞いていたが……元気で本当に良かった」
「あの……」
少しずつ後ずさりすると、急に後ろから抱きしめられる。
「アーサー様、何の用ですか? まだ懲りずにリーファを奪いに来ましたか? リーファは俺のものだと言ったはずです」
「旦那様……」
「そういうわけじゃない。父上から言われてきたのだ」
「陛下から、手紙は来てませんよ」
「手紙は一緒に持って来ている。……その前に、リーファ。君にこれを……」
アーサー様が持っていた花束を差し出された。両手いっぱいの薔薇の花束を。
でも、いらないんだけど……。
そう思うと、ピリピリしていた旦那様が受け取った。
そして、旦那様が居間へとご案内する。
「居間にご案内します。こちらにどうぞ」
「旦那様、私はお茶の準備をしてきます」
「何かあればすぐに呼ぶんだぞ」
「はい。花束も持っていきましょうか?」
そう言うと、旦那様はムッと不機嫌になったまま、こめかみに軽く唇を落としてきた。
まさか、アーサー様の前でするとは……。
後ろにいるアーサー様を振り向くのが、ちょっと怖い。
「あの……」
「花はいい」
「は、はい……」
そう言って、照れる顔を抑えられながらアーサー様の横を通りすぎた。
そのまま、パタパタと小走りで、厨房へと降りた。
陛下は持ち直したみたいだが、おそらくもっても2~3年だろうと言われている。
ニール様は、あのあとにアーシャ様と隣国へと帰ったらしい。
そして、私は困ったことが起きていた。
旦那様は心配しすぎたせいか、過保護になってしまっている。
その過保護に拍車がかかってしまったのは……目が覚めて3日目のことだった。
ヘルハウスを旦那様と歩いている時に、ジュリア様が私を脅かした時から始まる。
『よーこーせー!』
「きゃぁーー!?」
夕食後にサロンでお茶を頂いたあとに、旦那様と部屋に戻る途中。ジュリア様が後ろから急に脅かしてきたのだ。
急なことに驚き、足がもつれ転んでしまう。
旦那様は慌てて持っていたお茶を、トレイごと床に置き、大丈夫か? と起こそうとすると、私の魂が抜け出てしまっていた。
幽体離脱らしい。
「リーファ!?」
『……旦那様……』
そして、旦那様を求めて虚ろに彷徨おうと始めた時に、旦那様が慌てて私の身体に幽体を戻した。
「リーファ!? 大丈夫か!?」
「私……何を?」
一度魂が抜け出たから、まだ定着してないのでは!? と旦那様は私を見て言った。
「ジュリア! リーファを脅かすのは禁止だ!」
『えー! だってまだご褒美をもらってないわ!』
「リーファが落ち着くまで無理だ! 探しにいけないだろ!」
「旦那様、ご褒美とは?」
『ガイウスよりもいい男をもらう約束をしたのよ!』
「旦那様より素敵な方がいますかね?」
旦那様は呆れたように困っていた。
「とにかく! リーファが落ち着くまではダメだ! 留守中に何かあればどうするんだ!」
『ひどいわ! ガイウス! 私頑張ったのにー!』
ジュリア様はピューと飛んでいった。
その日から、過保護な旦那様に軟禁状態になり、ヘルハウスからの外出は禁止になってた。
そして、二週間たった本日。
呪いが解けて、日中も起きていられるようになり、玄関ホールの花瓶に花を生けていた。
「結構綺麗にできたわよね」
旦那様は、地下で私の幽体が安定するための魔法薬を必死で作っている。
花瓶の花が終わったから、お茶にそろそろ呼びに行こうか、と思うと誰かがヘルハウスを訪ねて来た。
「どちら様ですか?」
玄関を開けると、そこにいたのは、アーサー様だった。
しかも、花束を両手で持っている。
アーサー様が旦那様に花束なんかプレゼントするわけない!
まさか、まだ私を諦めずにきたのかしら!?
「リーファ……良かった。無事とは聞いていたが……元気で本当に良かった」
「あの……」
少しずつ後ずさりすると、急に後ろから抱きしめられる。
「アーサー様、何の用ですか? まだ懲りずにリーファを奪いに来ましたか? リーファは俺のものだと言ったはずです」
「旦那様……」
「そういうわけじゃない。父上から言われてきたのだ」
「陛下から、手紙は来てませんよ」
「手紙は一緒に持って来ている。……その前に、リーファ。君にこれを……」
アーサー様が持っていた花束を差し出された。両手いっぱいの薔薇の花束を。
でも、いらないんだけど……。
そう思うと、ピリピリしていた旦那様が受け取った。
そして、旦那様が居間へとご案内する。
「居間にご案内します。こちらにどうぞ」
「旦那様、私はお茶の準備をしてきます」
「何かあればすぐに呼ぶんだぞ」
「はい。花束も持っていきましょうか?」
そう言うと、旦那様はムッと不機嫌になったまま、こめかみに軽く唇を落としてきた。
まさか、アーサー様の前でするとは……。
後ろにいるアーサー様を振り向くのが、ちょっと怖い。
「あの……」
「花はいい」
「は、はい……」
そう言って、照れる顔を抑えられながらアーサー様の横を通りすぎた。
そのまま、パタパタと小走りで、厨房へと降りた。