呪われた令嬢はヘルハウスに嫁ぎます!
その瞬間誰かが私の身体ごと引き寄せた。



間一髪で私が落ちる直前に身体ごと引き寄せた男性のおかげで落ちずに、バルコニーへと持ち上げるようにされる。



片手で私を持ち上げた男性は、バルコニーに私を降ろし、「大丈夫か?」と労るように聞いてきた。



落ちそうになった恐怖からか、震える身体を両手で抑え男性を見ると、黒髪に金の瞳。

あの日、私を夜会から助けてくれた男性だった。



「……本当に大丈夫か?」



呆然と男性を見て言葉のない私に男性はまた聞いてきた。



「あ、あの……ありがと……う……ございます……」



言葉も切れ切れに、お礼を述べるとまた涙が止まらない。

逃げられなかったからか、この男性に助けられたからか……色んな事でもう感情が高ぶっているせいか泣くのを我慢出来なかった。



「リーファ……君に話があって来た。悪い話ではない。部屋でゆっくり話せるか?」

「へ、部屋に……!?」



嫌だ。部屋に帰りたくない!



そんな考えで、震える足は動かなかった。

助けてくれた男性は私の顔をじっと見て、何かに気づいたように優しく話を続けた。



「この邸から出る話だ。君の意思を無視して話は進めないから安心しなさい」

「ほ、本当ですか!? この邸から出られるのですか!?」

「君の同意があればすぐに出よう」



部屋には帰りたくないけど、アーサー様の邸から出られるなら、話を聞こう!



震える足を抑えるように大腿に爪を立て、助けてくれた男性に行きます! と力いっぱい言った。



「ロウ、連れて来た登記官を呼んで来い」

「畏まりました」



登記官? 一体何の登記官だろうか?

疑問は出るが、ロウと呼ばれたあの執事らしい初老の男性の足元には警備達が倒れていることに驚愕する。



「け、警備の方達が……!?」

「ほっとけばいい。こんなところで倒れても死にはしない」



いつの間にロウという執事は警備達を組み伏せたのだろか。初老のロウという方は倒れた警備達の側で涼しい顔をしており、黒髪の男性に言われたように、登記官を連れに行ったのか、バルコニーから颯爽と降りていった。



黒髪の男性は気にせずに、バルコニーから二階の廊下を部屋はどこだ? と聞きながら進み、私の部屋の前の見張りの使用人達を見て足を止めた。



「あれはなんだ?」

「……見張りです。私が部屋から出ると、必ずついて来て、アーサー様に報告を……」



説明すると、益々自覚してしまう。

私はアーサー様に囚われているのだと。

そう思うと胸が苦しい。



「……行くぞ」



私の返事を待たず、黒髪の男性は見張りを無視して部屋に入ろうとした。



「リーファ様! いつの間に!? いえ、男性を部屋に入れるなど、アーサー様がなんと言うか!」



見張りの中年の女性……メイドに叱られると黒髪の男性は冷たく睨み付けた。



「黙れ。貴様に口を挟まれる謂れはない」



金の瞳で威嚇されたメイドは、青ざめながら後退りして走り去った。



◇◇◇



テーブルを挟み向かい合って座ると、落ち着いた様子の男性に、金髪碧眼のアーサー様と正反対な容姿で、前髪の長い黒髪に金の瞳は冷たく見える。アーサー様は外見だけは優しそうに見えるからだ。でも、私には執着してくるアーサー様より、この冷たい外見のこの方の方が優しく見えた。



「リーファ……俺はガイウス・クローリー公爵。君に求婚をしに来た」



いきなりの求婚に驚いた。











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