黎明の剣

悲しい現実

「お前さん、助けてくれッ何でもいいから食べ物をくれないか!!」

「私にも食べ物をッ。まだ子供が小さいんですッッ」


「俺にもなにかッ」


そんな感情に浸る間もなく現実はとても悲しいものだった。


枯れ葉のような手が私に伸びてくる。


骨が浮き彫りになっている腕が私に触れようと伸びてきて「ひっ」と情けない悲鳴が漏れた。


「ごめんなさい、あげられるものがないんです」


心は引き裂かれんばかりに苦しさを帯びていく。

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