黎明の剣
「ッあァァぁぁーー」


声を荒げて泣いた。誰の目も気にならずにひたすら、泣きわめく。


今一つの小さくて大きな命の星が消え失せた。


その事が酷く私を悲しませたと同時に怒りを沸き上がらせる。


沸々と熱湯のように白く揺らめく心に多くの感情が混ざり合った。


私が感じてきた虚しさなんて取るに足らないものだった。


その虚しさを凌駕する程の怒り悲しみ寂しさを今消えた少女は感じていたはず。


それなのに少女は微笑んで感謝を述べた。


私はなんて愚かだったのだろう。



物足りない日常の中でクラスメイトと笑って健康に与えられた環境にただ浸っていた私は甘い蜜を啜る寄生虫だったんだと思い知った。
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