『始まったふたり。』最後から、始まる。ー番外編ー

「ねー、杉山
帰り、おんぶしてよ」



「え、疲れたの?」



「うん、疲れたかも…」



「帰りは登り坂なんだよね…仕方ない」



屈んだら歌笑が背中に乗ってきた



「おもい?」



「おもくない」



歌笑の温もりが

ゆっくり背中に広がる



「帰りは、走んないの?」



「走んない」



「ホントはおもいから?」



「おもくない
走ったら早く着くから…」



歌笑が話す度

歌笑の柔らかい感触に

ドキドキする



あー…好きだな…

抱きしめたくなった



「歌笑なんか歌ってよ」



「えー…」



「歌笑の顔見えないから
歌笑の歌聴きたい
電話でよく歌ってるじゃん」



歌笑と電話をしてて

無言になった時



耳を澄ますと

歌とか鼻歌が聴こえてきたりする



無言だったわけじゃなくて

歌ってるんだ



オレの話、聞いてた?

って、なるけど…



いつも歌笑は自然と歌ってる



そんなところも

歌笑の好きなところ



「じゃあ、どーしよ…
校歌ね!杉山も一緒に歌ってよ」



ふたりで校歌を歌いながら

アパートに帰った



歌笑の声が

オレの耳元で響く



いつもの道なのに

歌笑がいると

ぜんぜん違う道になる



いつもここに

歌笑がいてくれたらな…



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