『始まったふたり。』最後から、始まる。ー番外編ー
「もぉ、、、
…
こんなに、、速く、走ったの、、、
初めてかも、、、
サンダル、ぬげそうだった、、、
…
杉山って、、いつも、、
こんな、速く走ってんの、、、?」
川についたら
歌笑が息を切らして言った
「いつもは、、もっと、速いよ、、、」
「そっか、、、
私いたもんね、、、
…
でも、、、楽しかった、、、
…
周りの景色、、ぜんぜん見えなくて、、、
杉山しか、、見えなかった、、
…
杉山って、いつも、、、
何見て、走ってんの、、、?」
「まっすぐしか、見てないよ、、、
よそ見なんかしてたら、、速く走れない」
息を整えながら
手を繋いで
歌笑と川端を歩いた
いつもひとりで走ってる道
今日は歌笑がいる
「なんか、不思議…」
歌笑が言った
「ん?なに?」
「杉山がいる」
オレと同じこと思ってる
「そりゃ、いるでしょ」
ふたりで笑った
「卒業したら
もぉ会えないと思ったのに…」
「うん…オレも思った」
少しオレの後ろを歩く歌笑を
気にしながら
歌笑の歩調に合わせた
「歩くの、速い?」
「んーん…大丈夫
この位置が好きなの」
「この位置って?」
「ずっと杉山の背中見てて
この後ろ姿にずっとついて行けたらな…って
…
どこまでも追い掛けて行けたらな…って
いつも思ってたんだ」
「オレのこと、見すぎ…」
「ハハ…
ホントに、ずっと見てた…」
歌笑はずっと
先生を見てるオレを見てた
なんとなく
歌笑の視線に気付いて
なんとなく
意識し始めた
オレを特別に見てくれなかった
先生
オレをいつも見てくれてた
歌笑
オレは今
歌笑が好きで
歌笑は…?
少し後ろにいる歌笑に
視線を送った
付き合う前は
いつもそらされてた
「歌笑…
好きだよ」
言葉にしてみた
「なに?急に…
…
私はずっと、好きだったよ」
オレの手を握りながら
まっすぐオレを見て
歌笑が言ってくれた
ふたりとも
繋いだ手に力が入った