『始まったふたり。』最後から、始まる。ー番外編ー
「杉山どっち?」
暗くなった部屋
ベッドから
歌笑の声が聞こえた
「え?どっちって…?」
あ、ベッドか
床?
オレが床?
ま、そーなるか…
「私、寝相悪いから手前がいい
杉山、奥ね」
なんだ、そーゆーこと
「あ、いいよ」
いんだ
一緒に寝て
歌笑をまたいで奥に入った
ベッドが揺れて
歌笑のシャンプーの匂いがした
歌笑ぜんぜん緊張してない?
オレ結構緊張してるんだけど
「歌笑、狭くない?
あんまそっち行くと、落ちるよ」
「うん
私、ホントに寝相悪くて
杉山のこと蹴ったらごめんね」
「蹴ったことあるの?」
「ないよ
誰かと寝るとか初めてだから…」
初めて…
そーなんだ
電気の消えた部屋
2人の声が
宙に浮く
「杉山どっち見て寝る?」
「オレは仰向けかな…」
あ、嘘でも左って言えばよかった
歌笑の方見て寝れないじゃん
「そーなんだ…
私はうつ伏せ」
なんだ
うつ伏せかよ
結局向き合えない
少し当たる肩から
歌笑の体温が伝わる
いつもはない温もり
「杉山、明日も自主練て言ってたよね?」
「うん」
「早く寝なきゃじゃない?起きれるの?」
「歌笑起こしてくれる?」
「うん、いいよ
じゃ、おやすみ」
え、ホントに寝るんだ
「うん、おやすみ」
同じベッドに
歌笑がいる
なのに
何もなく
今日が終わる
歌笑疲れたよね
でも
いっぱい笑ってたな
楽しかったけど
キスもしなかった
そんなタイミングもなかったし
あー…
キスぐらいしたかった