『始まったふたり。』最後から、始まる。ー番外編ー

「明日楽しみだな〜」



「それなら今日もこれから出掛ける?」



「今日は今日で
杉山とゆっくりしてたいから、いいの」



ゆっくりね



ゆっくり時間が過ぎていったらいいけど

もぉ2日目が終わろうとしてる

早い



「明日どこ行くの?」



「んー…そーだな…
こことか…
あと、ここは?」



歌笑にスマホを見せた

歌笑と一緒に行こうと思って調べてた場所



「行きたい!楽しそう!
杉山もしかして考えてくれてた?」



「え、まぁ…
歌笑来るし…
デートとか、したいじゃん」



「なんか、嬉しいな…」



「別に当たり前のことじゃん
オレたち、付き合ってるんだし…
やっと会えたし
これからもあんまり会えないし
会えた時ぐらいデートしようよ」



「杉山…」



「ん…?」



歌笑が寄り掛かってきた



「近くにいるんだから、ギュッてしてよ
高校の時みたいに…」



かわいんですけど♡



歌笑を抱きしめた



歌笑の柔らかい感触と一緒に

甘い匂いが鼻に届いた



「杉山にギュッてしてもらうの、好き…」



ドクン…



「オレも好きだけど…」



「懐かしいね…」



うん、思い出す

歌笑と学校でしたこと



「懐かしいな…
なんか、久しぶり…」



に、したいな…とか…

歌笑も思ってる?



そんな雰囲気になってるよな?



「杉山にギュッてされると
気持ちよくて…」



歌笑の甘い声が

オレの胸元で響く



ムズムズして

でも心地いい

この感覚久しぶり



「杉山の大きくて温かい手、好きだな…

杉山のこと、好きで
どーしたら杉山の気持ちひけるかな…
どーしたら杉山に嫌われないかな…
必死だったんだ、私

杉山の手を
私だけのものにしたくて…

杉山に少しでも私を見てほしくて…

あんな方法でしか、繋がれなかった」



歌笑、そんなこと考えてたんだ

そんなにオレのこと好きだったんだ

嬉しいじゃん



「ちゃんと、見てたよ
目そらしてたの、歌笑じゃん」



「だって、恥ずかしかった

ねぇ、杉山は…
私としたいから
私と付き合ってくれたの?」



「え、それは違うって言っただろ
別にそんなの目的じゃ…」



「男子ってさ
みんなそーなのかな…とか…
誰でもいいのかな…とか…思ったんだ」



「そんなことないよ!
歌笑と初めてした時はもぉ好きだったよ」



ここは強く言うけど

誰でも良かったわけじゃなくて



あの日

教室でヤマダが

彼女とやったとかそんな話してて

ふざけて周りにゴム配ってた



歌笑にその話聞こえてたかわかんないけど

歌笑が気になって見たら

目が合った気がした



昼休み

音楽室にいたら

歌笑が来た



離さないで…

離れないで…



どんな意味だったかはわからないけど

歌笑はオレを求めてくれてるんだな…って

歌笑としてしまった



「ちゃんと、好きだったよ
歌笑のこと…
だから…我慢できなかった」



「卒業式の日
杉山が
好きだったって言ってくれたけど
私、大キライ!とか言って
ごめんね

絶対杉山、私のことなんて…
絶対杉山、先生のこと好きなんだって
思ってたから…」



「先生でも、誰でも良かったわけじゃなくて
歌笑がよくて…

歌笑とする時はいつも
好きだって声に出さないように気をつけてた

結局、卒業式
最後になるはずの日に言っちゃったけどね」



「あの日、杉山が言わなかったら
今、こうしてなかったね」



「うん、そーだね…」



愛おしい

とは

こーゆー時に使う言葉なのか?



オレの胸にいる歌笑を撫でた



「杉山がね
そーやって私の髪を触るの好きだった

あとね
いつもクールでなんでもできる杉山が
ちょっと余裕なさそうにするのが好きだった」



恥ず…



「余裕なんか、あるはずないじゃん
オレを見つめてる歌笑がかわいかったし
恥ずかしそうにする歌笑とか
めちゃくちゃエロくて…」



思い出す



ドクン…



「もぉ、杉山、言わないでよ
恥ずかしい」



「先に言ったの、歌笑じゃん
お返し」



「ハハハ…そうだった」



歌笑がオレの腕から逃げた



アレ?

誘ってるわけじゃなかった?



むしろ

カラダ目当てみたいなこと言われたら

できないし…



なのに、煽るなよ



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