『始まったふたり。』最後から、始まる。ー番外編ー
「ねぇ、歌笑
こっち来てどこも行ってないけど
楽しい?」
「うん、楽しいよ
…
杉山いるし
杉山が通ってる大学とか
杉山がいつも走ってるところとか
杉山が生活してるところとか
杉山が住んでるアパートにいるだけで
楽しいよ」
なんだよ
杉山杉山って、かわいすぎ♡
もぉ、一生杉山でもいいわ
「そっか…
でも明日は
せっかくだからどっか行こうよ」
ニヤける顔をおさえながら言った
「うん!デート?
あ、でも私、着る服ないし…」
「着替え持ってこなかった?」
「持ってきたよ
でも、似合わないし…
スカートしかないもん…」
「え、なに…?スカートじゃダメなの?」
「スカートとか女の子ぽい格好
私、似合わないでしょ
今度来る時はパンツで来るね」
そぉ言えば歌笑
こっち来てから出掛ける時
いつもオレのジャージだった
たいした所にも行ってないから
特に気にしてなかった
「スカート、かわいいよ
女の子ぽいの似合ってるよ
オレ、普通にテンション上がってたけど」
「ホントに?」
「うん
ジャージの歌笑も制服の歌笑も
好きだったけど
普段見れない歌笑見た時
言わなかったけど
めちゃくちゃ感動した」
「感動…って、大袈裟じゃない?」
「そんなことない
ほら…
こっち来る前に
オレの買い物に付き合ってもらった時
袖がフワッとしてるヤツとか
レースがヒラヒラしてるヤツとか
歌笑、着てたじゃん
なんか布が薄くてドキドキした」
「杉山、よく覚えてるね」
「覚えてるよ
かわいかったから…
…
それこそ、誰にも見せたくなかった」
歌笑が恥ずかしそうに笑った
かわいい
ドキン…
え、今
キスするタイミングだった?
歌笑とは…したことあるのに
なんだろう
今はキスのタイミングさえ難しく感じるって
これじゃやっぱり
付き合ったばっかの中学生だろ