クールな御曹司は離縁したい新妻を溺愛して離さない
20時を過ぎた頃玄関の開く音が聞こえた。
私は出迎えるために玄関へと向かう。

「お帰りなさい」

「ああ。ただいま」

私は彼からジャケットを受け取るとハンガーにかけた。
彼は机の上に広がったすごい量の夕食を見て驚いていた。

「今日はどうしたんだ? いつもより量が多いな」

「あとで話しますから、ひとまずお風呂にどうぞ」

私は彼をバスルームへと促した。

程なくしてTシャツに短パンを履き、首にタオルを巻いて修吾さんは出てきた。髪の毛からはまだ水滴が滴り落ちている。

「お待たせ」

「では食べましょうか」

「ああ。いただきます」

いつもの様に手を合わせると彼はシャンパンを口に運んだ。

「家でシャンパンが出るなんて珍しいな。何かあったのか?」

「あとでお話ししますね。でも少し作り過ぎちゃいました。それにバラバラですよね。ごめんなさい」

私は箸を置き、頭を下げる。

「そんなことない。全部好きな物だらけだから嬉しいよ」
 
彼はそう話すと箸をどんどんとすすめていった。気持ちいいほどの食べっぷりであんなにあった料理はあらかたなくなってしまった。

「美味しかったよ。美波は本当に料理が上手だな」

「そんなことないです。オシャレな料理とか全く出来ないし、私にできるのは家庭料理くらいで……」

「そんなことない。すごく美味しいよ」

修吾さんにこれ以上褒められると例の話を始めにくくなる。
いつまでも切り出さずにいるわけにいかない。
私は意を決して向かい合う彼にこう告げた。
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