クールな御曹司は離縁したい新妻を溺愛して離さない
「修吾さんと本当の夫婦になれて嬉しい。けど……もう家族なんですよね」

「もちろん家族だ」
 
私は彼になんて説明したらいいのか分からず、混乱する。彼の胸に押しつけた顔を上げられず、俯いてしまう。

「美波? どうしたんだ?」

私は意を決して小さな声でやっと伝えることができた。

「お腹の大きな私は女として魅力がないですか?」

修吾さんは髪をすいていた手が止まった。

「そんな事あるわけないだろ。俺がどれだけ我慢してると思うんだ? こうして毎日腕の中で好きな女が寝ていて、手出しできないなんて辛いに決まってるだろう。それでも美波も子供も大事だから手を出さないんだ」

「え?」

「俺の胸に顔を寄せられ、シャツにしがみつかれ、どれだけの理性と戦ってると思うんだ?」

思っても見なかった彼の本音が溢れ出してきた。

「私は、お腹が大きいのを見て抱いてくれないんだと思っていました」

「違う。ふたりが大事だからだ」

修吾さんの反応にやっと私は顔を上げることができた。

ルームライトの薄暗い部屋でもわかる彼の赤い顔と動揺した声に励まされた。

「私は修吾さんをもっと感じたい」

「いいのか?」

私は頷いた。

「母親教室でもゆっくりならいいって言われました」

その言葉を聞くなり、彼は私の唇を塞いできた。急ぐような荒々しい口づけに、求められていることを感じ、胸の奥が疼く。
彼は自分のパジャマを脱ぐと私のボタンにも手をかけ始めた。
膨らんできたお腹にそっと触れ、キスをすると、話しかけた。

「ちょっとだけママを俺のものにさせてくれよ。大人しくしてるんだぞ」

私はその姿を見て可愛らしく思えたのも束の間、あっという間に流されてしまった。

「優しくするよ。今までも本当は好きだから抱いていたけれど、美波にはそう感じられなかったよな。これからは義務じゃないと分からせてやるからな」

宣言通り、彼は優しくも私を翻弄させながら愛を伝えてくれた。

満たされ、私はとてつもない幸福感に包まれた。
彼に見つけてもらえて良かった。
私も彼を愛することができて良かった。

「美波、愛してる」

「私も。あなたの妻になれて本当によかった」

「俺こそ結婚できたことが奇跡だ。この子のことも奇跡だと思っている。俺たちを繋ぎ止めてくれたかけがえのない存在だ」

彼はお腹に手を当てるとゆっくりと撫でる。

「お前はいい子だな。生まれる前から俺たちの仲を取り持ってくれて、さらにこうして俺と美波の時間はおとなしくしていてくれる。ありがとな」

すると聞いていたかのようにポコっと胎動が始まった。彼も感じたようで笑っていた。

「そうか、聞こえていたのか。いい子だよ、いい子! 出てきても独占しないで俺にも美波と仲良くさせてくれよ」

ポコ

「うーん、これはいいよって言ってるのか? やっぱりお前はいい子だ。出てきたらたくさん可愛がってやるからな。早く出ておいで」

「修吾さん。まだダメですよ。まだ早すぎます。それに、それまでは私だけの修吾さんでいてください」

「美波に俺はいつでも翻弄されるな。俺は振り回すタイプでなく振り回されるのが実は合っているのかもな。俺は美波に振り回されて幸せだよ」

チュッと唇をかすめるキスを彼は落としてきた。
彼は知らないのかな? 
私の方があなたに翻弄されてます。


END
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