こばとヴィレッジで夢を叶えましょう~ある革職人の恋のお話~
なにをっ!?
ムッとして見上げたが、シュルシュルと戦意が消失する。
すくすくと順調に育った源基は、成長し損ねた小春よりはるかに大きい。
そのまま無言で顔を下げた小春を見て、春乃は「源ちゃんも相変わらずのようね」と呆れたように言った。
「二人で店を出すのか」
「そう。テイクアウトもあるから、ぜひ利用してね」
春乃はしっかりと営業活動をしている。
でも、小春は『源ちゃんはけっこうです』と言いたいところを我慢していた。
同じ歳の人がいれば、と思っていた気持ちは即座に取り消しだ。
源ちゃんかぁ。
源ちゃんには嫌な思い出しかないんだよなぁ…
絵本を読んでいたら取り上げられる。
砂場でおだんごを作っていたらつぶされる。
今思い返してもろくでもない男だ。
でも、さすがに大人になったわけだし、作った料理をぐちゃぐちゃにされることはないだろう。
小春はとにかく気配を消して、源基と春乃のやり取りを聞いていた。
源基は美大を出た後、陶芸の道に進み、最近まで別の陶芸家のところで修行をしていたらしい。
やはり自分の店を持つという目標を持って、この『こばとヴィレッジ』にやってきた。
「お互い頑張ろうぜ」
にかっと笑って源基は言った。