こばとヴィレッジで夢を叶えましょう~ある革職人の恋のお話~

     *

「やめなよ、泣いてるじゃないか」
ケイは砂場で泣いている女の子の前に立った。

不貞腐れたように「ふんっ」と言って、男の子が走り去る。
外遊びの時に着るスモックの背中には「げんき」と書いてあった。

こばと幼稚園では、クラスによって色分けがされていて、被っている帽子の色で何組かがわかる。

行ってしまった男の子も、今ここで泣いている女の子も、濃いピンクの帽子。
年少のひばり組の子だ。

ケイが年長に上がった時、担任のえり先生が「小さなお友だちが泣いていたら助けてあげましょう」と言った。
ケイは割と素直な性格だったので、先生の言う通り『小さなお友だち』を助けてあげたのだ。

「だいじょうぶ?」

ケイがしゃがみ込んで聞くと、女の子はヒックヒックと泣きながら「おだんごが…」と言った。

そこには砂だんごらしきものは見当たらない。足で踏みつぶされたんだろう。

「ボクが一緒につくってあげるよ。もう一回作ろ」

女の子は一生懸命涙を止めて、ウンと頷いた。

「こはる」と書かれたスモックを着た女の子は、年少組の中でも殊更小さかった。
赤ちゃんみたいな小さな手で、砂だんごを作る。

こはるの作ったおだんごは、ケイが作ったものの半分くらいの大きさだ。

できたおだんごを葉っぱに乗せると、「めしあがれ」と差し出してくる。

おままごとにつきあうつもりはなかったんだけど…

年長に上がってからは、女の子ともあまり遊ばなくなった。
ケイには双子の妹がいるので、妹のサラとはたまに遊ぶけれど、ゲームくらいだ。

女の子とままごとなんてはずかしいな。

ケイは困ったようにもじもじしたが、期待に満ちた顔でこちらを見るこはるに断ることはできなかった。

えり先生は、「小さなお友だちには優しくしてあげましょう」って言っていたし。

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