こばとヴィレッジで夢を叶えましょう~ある革職人の恋のお話~
ケイは仕方なくおだんごを手に取り、モグモグと食べたふりをする。
「おいしい?」
「うん。おいしいよ」
「よかった!」
こはるはタンポポのようにふんわりと笑った。
それからは、ひばり組と外遊びの時間が重なるときは園庭を探すようになった。
「げんき」という男の子はやたらとこはるに絡むようで、砂場で泣いているこはるを救い出すことが度々ある。
そうなると、潰されたおだんごを直すことから始まり、ままごとまでがワンセットだ。
サラには「なんで年少さんとままごとしてるの?」と不思議がられたけれど、ケイにもわからないのだ。
ある時、こはるが砂だんごを顔に近づけて、クンクンと匂いを嗅いだ。
「おだんご、美味しそうな匂いがしないね」
「そりゃそうだよ、砂だもの」
「美味しそうな匂いがしたらいいのに。そしたらもっと楽しいのに」
残念そうにこはるが言うので、ケイはうーんと考えた。
「おにぎり作ってみたらどうかな。砂でおだんごを作るのと同じなんじゃない?」
「おにぎり?」
「うん。おにぎりならいい匂いがするよ」
「おにぎりね。こはる、やってみる!うまくできたら食べさせてあげるね」
嬉しそうに笑うこはるに、「ボクも楽しみにしてる」とケイも笑った。