遅刻しそうな時にぶつかるのは運命の人かと思っていました
「一条さん、どうかされました?」
「いや……伝票、を……」
「受領書ください」
「そんなの作る暇ない」
その一言に亜由美は引っかかりを覚える。
『作る暇』?
「皆さん、暇で作られるわけじゃないんですよ? それが社内ルールだから作るんです。受領書を作成してから持ってきてください。でないと受け取った、受け取らない、で揉める原因にもなりかねませんから」
亜由美はにっこり笑って伝票を突き返した。
営業部のエースだかイケメンだか知らないけども。
仕事をきちんとしない時点で亜由美の中ではイケメンではない。
『時間と約束とお金のことは、きちんと守ること。それが信頼を守る』が父から言われて育ってきている亜由美なのだ。
キッと亜由美を睨みながらも、一条は伝票を持ち帰った。
いつもは水筒に自分の好きなお茶を淹れてきている亜由美だが、今日は遅刻寸前だったこともあって、水筒を持ってこれなくて、やむなく自販機に向かう。
その手前で、一条の声が聞こえたのだ。
「杉原女史、本当にうるせー」
思わず自販機に向かう足が止まってしまった亜由美だ。
「まだ、若いからな?」
一条の同期の声だと思う。
「マジかよ? 何年目?」
「いや……伝票、を……」
「受領書ください」
「そんなの作る暇ない」
その一言に亜由美は引っかかりを覚える。
『作る暇』?
「皆さん、暇で作られるわけじゃないんですよ? それが社内ルールだから作るんです。受領書を作成してから持ってきてください。でないと受け取った、受け取らない、で揉める原因にもなりかねませんから」
亜由美はにっこり笑って伝票を突き返した。
営業部のエースだかイケメンだか知らないけども。
仕事をきちんとしない時点で亜由美の中ではイケメンではない。
『時間と約束とお金のことは、きちんと守ること。それが信頼を守る』が父から言われて育ってきている亜由美なのだ。
キッと亜由美を睨みながらも、一条は伝票を持ち帰った。
いつもは水筒に自分の好きなお茶を淹れてきている亜由美だが、今日は遅刻寸前だったこともあって、水筒を持ってこれなくて、やむなく自販機に向かう。
その手前で、一条の声が聞こえたのだ。
「杉原女史、本当にうるせー」
思わず自販機に向かう足が止まってしまった亜由美だ。
「まだ、若いからな?」
一条の同期の声だと思う。
「マジかよ? 何年目?」