俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
「この間、役所で出したのは認知届」
「……認知、とどけ?」
「あんたの子を胎児段階で認知する届け出だよ」
「……えっと、じゃぁ、私と春多くんって夫婦じゃないの?」
頭をガツンと殴られたような衝撃を受けた。
認知って何?その言葉は聞いたことあるけど。つまり、春多くんとお腹の子供は親子になるけど、春多くんと私は繋がってないってこと?
「婚姻届は証人も必要だろ?あんた、自分がサインする書類なんだからちゃんと見ろよ。マジで騙されるからな」
面倒臭そうに息を吐くから、今までのこの子と築き上げてきた関係が崩れていく気がした。
……やっぱり、ムカつく。私、ずっと、春多くんと結婚して奥さんになったと思ってたのに。
「俺の子でいいよ、とは言ったけど。あんたと結婚するとは言ってないじゃん」
「ひ、酷いっ!言ってないかもしれないけど。春多くんはどーせ私の事なんか、好きじゃないんだ!だから籍入れないのは当たり前な……っ、」
ギシッ。ベッドのスプリングの音が部屋に響い瞬間──。
仰向けのまま両手首を掴まれて、春多くんが四つ這いの姿勢で上に乗ってきた。
「違うよ、俺まだ扶養控除入ってんだよ」