俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
結局、春多くんだけじゃなくて私も病院を早退した。その後、かかりつけのレディースクリニックを受診して、検査して貧血判定を受けて薬を処方して貰ったのだ。
そして、現在──
「あー、病棟であんな事になったら、アイツにバレるのも時間の問題だよな」
マンションへ帰宅し、安静にベッドに横になっていると。隣に寝転がる春多くんが、困ったように息を吐いた。
"アイツ"が父親の事なのだろうと、鈍い私でもすぐに理解できる。
私もだけど、やっぱりまだ籍入れたこと報告してなかったんだ。
春多くんは私が"好き"だって告白した事、どう思ってるのかな。
一緒にいてくれるって事は、私と同じ気持ちだと考えていいのかな。
チラリと目を向けては、恥ずかしくなってすぐ顔をそらした。
「ごめんね、私がちゃんと挨拶するから」
「いや、そういう問題じゃなくてさ」
「わ、私がまだ学生の春多くんを、大事な息子さんを誑かしたって事にしよう?病棟で見かけて格好いい春多くんに一目惚れして、すっごいアプローチかけて色仕掛けで家にお持ち帰りしたって言うから!」
「なんだその設定」
「そうしたら、春多くんはそこまで怒られないですむよね?赤ちゃんの事も、勝手に入籍した事だって……」
「は?籍入れてねーよ」
「へ?」