俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
謝罪、嘘、誰のため
春多くんは、"丁度、彼女が欲しかったと言った。
たった一度きりの、一夜だけの関係。
その後、あの子は私の居る場所を知っているにも関わらず、忙しかったからと言って1ヶ月も会いに来なかった。
──今のうち作っておかなきゃマズかったのに、忙しくて作れなくてさ──
──じゃぁ、ぴったりじゃん。大丈夫、もう俺の子にしよ。俺の子産んで──
ずっと何かが引っ掛かっていた。
たまたま、妊娠していた私がいたから、丁度良かった?
私のスマホはミュートのまま。ピカピカッと、ランプが光り続けている。
「ねぇ、春多くん」
「んー……?」
その日、春多くんが帰ってきたのは22時を回った頃だった。
眼鏡をかけて勉強モードの春多くん。夕ご飯を食べてから自分の部屋に籠り、パソコンとタブレットを並べ難しそうな文献と睨めっこしていた。
「大学とか病院で私のこと言われない?大丈夫?」
「んー、直接は言われない」
和泉くんは大丈夫とは言ってたけど、やっぱり気になる。
「影では言われてるの?春多くんは気にならないの?」
「まぁ、卒業はしてないけど年齢的に子供いてもおかしくないし。そんなのいちいち気にしてられるかよ」
「あとね、話は変わるんだけど…実習中の春多くんには悪いんだけど。ちょっと、お願いがあるの……」