俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
「……えっ?」
慰謝料ってそんな払わなきゃいけないの?
300万って……。そんな貯金ないし、私の1年間の手取りより高いし。
だから、いつも考えなしって言われるんだ。
どうしよう──。
「はい、払わせて頂きます。うちの珠里がご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
「……っ、!?」
「ふふっ、凄いですよね。不倫した立場でいて、院長先生のお孫さんをバックにつけてるんですもの。どんな手を使ったのかしら。あなたにはとても、感心してしまうわ」
と言うミチさんが、テーブルの上に紅茶とクッキーを並べて「毒なんか入ってないわよ」なんて、明るい声が言葉が続けられる。
「自分で慰謝料も払えないなんて、どういう覚悟で謝罪をしたの?頭を下げれば全てが許されるとでも思ったのかしら?」
本当に、この人の言う通りだ。
何の覚悟もないまま、悪いことをしたから謝りたいだなんて。
誠意を見せれば、許される訳でもないのに。何にも分かってなかった。
「慰謝料より、社会的制裁の方がよろしくて?あの写真より、ちゃんとあなたの顔が写ってるものもあるんです。でも、顔出しちゃうと可哀想だなーって思っちゃって。仮にも妊婦さんなのに」
「……」
「本当はうちの主人の子供なのでしょう?」