彼氏へ。わたしの爪と皮膚はしおりにしないでください。
「……あ。噂をすれば、って感じで彼氏来たじゃん。いちばん遠い教室から、よく毎休み時間にくるよね」
「だって星畑だもん」
「それをあたりまえだと思ってるのがすごいって話だよ」
やれやれといったふうに肩をすくめる彼女に首をかしげていると、星畑は小走りにこちらへやってきた。
「授業おつかれさま。午後も頑張ろうね!」
「うん、そうだね」
「お昼はもう食べ終わった?」
「食べ終わったよ」
「今日はね、これ、持ってきたんだけど……」
昨日、リビングにあるけど部屋にはない。取りにいくには時間がもったいない気がする。
との理由で幸いにも持ち出されることのなかった、爪切りと爪切り用のちいさなハサミ、それからスキンケアセットが机の上に置かれる。