クールな幼なじみが本気になったら
幼なじみが本気になったら
「…失礼します」


わたしは、おそるおそる部屋のドアを開ける。


林間学習の部屋割りは6人部屋。

だけど、ここはそれよりも少し狭い少人数用の部屋の造りとなっている。


その畳に敷かれた布団の上で、りっくんは1人横になっていた。


「…りっくん?」


返事のないりっくんにゆっくりと歩み寄ると、静かに眠っていた。


赤い頬。

荒い息づかい。


そんなりっくんに、なにもしてあげることができないのがもどかしい。


せめてもの思いで、額に乗った濡れタオルを冷たいものに替えて、早くよくなりますようにと心の中で祈るしかなかった。


「…んっ。あれ…、しずく…?」


タオルを替えるタイミングで、りっくんが目を覚ました。


「…ごめん。起こしちゃった…?」

「ううん、大丈夫…」


りっくんは力なく微笑んでくれる。
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