クールな幼なじみが本気になったら
「今、新しいタオルに替えたところだから、わたしそろそろ行くね」

「…なんで?」

「だって、りっくんだって1人でゆっくりしたいだろうし…」


そう言って、りっくんの横で正座していた体勢を崩そうとしたら、わたしの腕をりっくんがつかんだ。


「…いやだっ。行かないで、しずく」


りっくんの熱を帯びて潤んだ瞳に訴えかけられる。

そんな弱々しい声でお願いされたら、行くに行けないよ…。


わたしは、もう一度りっくんのそばに座り直した。


「でも、さっきまでいっしょにいて、りっくんの体調に気づけないなんて…。わたし、幼なじみ失格だね…」


そもそも、りっくんが体調を崩す原因になったのもわたしだし…。

わたし、りっくんに迷惑かけてばかりだ…。


落ち込んで、曲げた膝に顔を埋めて塞ぎ込む。
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