When pigs fly〜冷徹幼馴染からの愛情なんて有り得ないのに〜
 すると泰生は口を閉ざし、わざと顔を背ける。

「……あそこはホテル街のそばだし、デートの後って言ってたから……」
「……もしかして妬いた……とか?」
「そうだよ。悔しかった……だから恵那の中からあの男の全てを消したかった。恵那に不倫をやめさせたいと言ったのは本心だよ。だけど、もし出来るのならば、今度こそ恵那を俺のものにしたいって思ってた……」

 そっぽを向いているけど、耳まで赤くなっているのだけはちゃんと見える。これはギャップ萌えってやつなのかしら。泰生のことが、可愛くて、愛しくて仕方なくて、胸が熱くなるのを抑えられないの。

「ずっと泰生のことを冷徹な男だって思ってたのに、なんか不思議ね」
「確かに大抵のことに対しては冷めてると思う。でも恵那が絡むと正気でいられないんだ」
「……私だけ?」
「あぁ、たぶん一生恵那には心を乱されると思う」
「……そんな嬉しいこと言ったら、一生離してあげないんだからね……」
「大丈夫。俺は離れるつもりはないから」

 恵那はそっと顔を上げると、泰生にキスをする。

「小さい頃に一緒に読んだ絵本、覚えてる? 子豚の男の子が出てくるやつ」
「『When pigs fly』だろ? 恵那が大好きだった絵本だ」
「私……泰生に愛されるなんてあり得ないと思ってた……だから今が夢みたい……」
「じゃあこれが現実だって、心と体に教え込まないとな」

 泰生の首にそっと手を回し、恵那は小さく頷いた。ボタンが一つ一つ外され、首筋に触れる唇の感触に溶けそうになる。

 なんて遠回りをしちゃったんだろう……なんで勝手にあり得ないなんて思い込んだんだろう。ちゃんと言葉にして行動に移していたら、もっと早くに誤解が解けていたのかな……。

「好きだよ……恵那……愛してる……」

 繰り返されるキスに、恵那の口からは甘い吐息が漏れる。

 過去を振り返っても仕方ない。今こうして彼に愛されているんだもの、それでいいじゃない。

 泰生が好き。有り得ないくらい愛してる。

 あなたと二人で繋ぐ未来が、たくさんの希望に溢れていますように……。
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