白馬の王子と風の歌 〜幼馴染は天才騎手〜
「フーカは?」
「あたしは、まだこれからだよ」

 彼女の本命だという公立高校の受験は三月上旬だという。一月のうちに決めてしまった俺を恨めしそうに見つめて、彼女はくすりと笑う。

「ハルマが夢に向かってるってわかったから、あたしも頑張れそう」
「フーカの夢?」
「うん。あたし、ようやく自分のやりたいことを見つけられた気がするんだ」
「フーカのやりたいこと?」
「ん。うまくいけば、ハルマみたいなひとたちを支えられるお仕事」

 幼い頃から馬を通じてしかかかわることのなかった俺は、馬とともにいるフーカのことしか見ていなかったことを悟る。彼女がすきなことややりたいことなど、気にしたこともなかった。

「え」
「……やっぱり内緒」
「なんだよそれ」
「ハルマがプロ騎手になるまで教えないっ」

 自分で支えたいと言いながら頬を赤くして、フーカは顔を背けてしまった。
 そんな彼女を見て可愛いと、俺もまた、顔を赤くしながら思うのだった。
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