白馬の王子と風の歌 〜幼馴染は天才騎手〜
2 + Side of Haruma +



 俺が幼馴染の真垣(まがき)風歌(ふうか)を異性として意識しはじめたのは小学校五年生の頃のことだ。それまではお互いに乗馬クラブでどっちが速いかとかどっちが多く障害物をクリアしたかとかくだらない言い争いを繰り返しており、幼い頃から俺たちの様子を見せつけられていた兄からは呆れられたものである。

「お前、フーカちゃんに張り合いすぎだっての。相手は女の子なんだぞ」
「はっ? 近年じゃ女性騎手だってメジャーだろ。それに向こうが突っかかってくるんだ。俺は悪くない!」

 俺より九つ年上の兄の昌馬(しょうま)は父親と同じ大学に入り、いまでは馬術の国体選手としても活躍している。当時十歳の俺は兄には敵わないと理解していたから、そのときから馬術ではない、レースで活躍する騎手になりたいと考えるようになっていた。
 その一方で、ずっとフーカと馬に乗っていられたらと願う自分がいるのも事実だった。
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