弁護士は逃げる婚約者を離したくない
「エマは、キレイだと思ったよ」

そう言った私の顔を彼は見つめている。

彼のその目の色を私は変だと思わなかった。

灰色がかっている青いその瞳はとてもキレイで、まるで外国の王子様みたいだと思った。

私は彼の頬に向かって両手を伸ばした。

「こんなキレイな目を、エマは見たことがないよ」

そう言った私に、みるみるうちに彼の目に涙があふれていく。

その涙は、ゆっくりと彼の頬を伝ってこぼれ落ちた。

「エマは、君の目を変だと思わないよ。

君の目は、とてもキレイだよ」

濡れた灰色ががった青い瞳が私を見つめている。

その瞳がゆっくりと細くなったかと思ったら、
「ーーありがとう…」

彼は私に向かって、そう呟いたのだった。
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