弁護士は逃げる婚約者を離したくない
その目を見た私は驚いた。

男の子はしまったと言う顔をすると、目を伏せた。

彼の目の色は、灰色がかった青い瞳をしていたからだ。

「…ほら、変かて思たやん?」

まるで呟いているような声で、彼は言った。

「僕の目の色はみんなとちゃう…。

この目ぇ見て、みんなは変や変や言うて笑うんや…」

そう言っている彼の声は、今にも泣き出しそうだった。

ああ、そうか…と、私は理解した。

彼が1人でいるのは、隣に誰もいなかったのは、その目の色のせいだったんだと言うことを理解した。

彼だけ目の色が違うから、彼の周りには誰もいなかったんだ…。

でも、
「ーー変じゃないよ」

私は言った。

「えっ?」

何を言ったんだと言うように、彼が私を見てきた。
< 62 / 82 >

この作品をシェア

pagetop