弁護士は逃げる婚約者を離したくない
「どこへ行くんですか?」

そう聞いた私に、
「そら当日までのお楽しみ…言うことで」
と、宇大は笑いながら答えたのだった。

いや、お楽しみと言われましても…。

本当にどこへ行くつもりなんだ、おい。

「そう言う訳やさかい、今週末はちゃんと空けといてや」

宇大はそう言うと、アイスコーヒーとローストビーフのサンドイッチをテイクアウトするとカフェを後にしたのだった。

彼がいなくなった後でまたいつものように同僚たちからいじられたのだが、もう毎度おなじみの出来事になってしまったので当たり障りのない返事をしておいた。

とは言え、
「何かもう…どうでもいいとは思えなくなってるんだよね」
と、私は呟いた。
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