寝取られたくて、彼氏を匂わせてみました
 なぜ海成のそんな性癖を知っているかといえば、高校時代勉強会と称して彼の部屋に入ったことがあるからだ。
 彼の部屋にある大人気の少年漫画が並ぶ本棚の一番下にあった段ボールにはタイトルを読み上げるのも恥ずかしいエッチなマンガ。

そのほとんどが寝取りモノだったから。

 彼はそこそこ顔がよくてぶっちゃけモテる。中学時代だって高校時代だってよく告白されていた。
 その中にはかわいい子も性格のいい子も地味巨乳もいた。だけど、彼は一切その告白に頷くことは無かった。

 海成は、彼氏がいる女の子にしか萌えないんだ。

 かくいう私もご多分に漏れず海成に思いを寄せている一人ではあるのだが、その性癖を知ってしまっているため、おいそれと玉砕決定の告白をする気はサラサラない。

 スッパリ諦めて次に行けばいいのだが、その次の候補さえ見つかっていない。このままでは一生海成のことをグズグズと引きずって生きていきそうだ。

何とかやるだけやってダメだったと自分を納得させたい。

もう、ただ告白して残念でしたと諦める時期は過ぎてしまったのだ。

 寝取られるために彼氏を作るという強硬手段に出ようかと思ったこともあったが、残念ながら大学に行く以外は引きこもりのような生活をしている地味で根暗な私に、彼氏ができる兆候は無い。

 長年の恋心を拗らせた私は、突如ひらめいた素晴らしいアイデアを実行することにした。



 その名も『彼氏できた(仮想)作戦』だ!
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