寝取られたくて、彼氏を匂わせてみました
◇◇◇

 そして私たちはお互いにシャワーを浴びた後、ベッドに隣り合って座っている。

「ごめん。すげぇ、かっこ悪い。これで振られても俺何にも文句言えないわ」

「いや、私も初めてだし、海成も初めてなんて思ってなかったから……」

「やっぱり。千春、彼氏いるとかデートとかウソだろ」

 そっと見上げると、海成がいたずらっぽく笑ってる。


「いや……えっと」

「だってデートにカップ付きキャミとか着るか?」

「おっしゃる通りデスネ……」

「好きだよ。千春。ずっと好きだった」

 そう言って、まだほのかに石鹸が香る唇を触れ合わせた。

「千春、返事は?」

「待って、ねぇ、私彼氏いないんだよ」

「ん? いないから何の問題もないだろ?」

「だって、それじゃあ寝取りにならないじゃん。海成、寝取りじゃないとダメなんでしょ。私に彼氏がいると思ったからこうして手を出してきたんでしょ」

「ごめん。何を言ってるのかわからない。寝取りとか関係なく、千春がずっと好きだったって言ってんの」

「寝取りは?」

「全然興味ないけど」

「じゃあ、あの実家の部屋にあった漫画は、いったい……」

「あの本棚の漫画、全部兄貴のものだけど?」

 私のした今までの苦労は何だったんだ。私は思わずベッドから滑り落ち床にへたり込んだ。
 でも、まぁ、めでたしめでたしってことで。



 初めて同士のやりなおし……それはまた別の話。


<おしまい>
< 9 / 9 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:10

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

演歌歌手安芸野もみじ ライバー(配信)始めます

総文字数/6,023

恋愛(ラブコメ)7ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
演歌歌手の安芸野もみじは、サイン会もコンサートも出来ない状況の中、事務所社長から生配信をして活動しろと命を受ける。バイト先の岡崎くんに手伝ってもらいながら生配信をするまでのお話です。 ※大人な展開はありません。サクッと読めるライトなラブコメディです※ 2022.5.17
4番目の彼女

総文字数/18,719

恋愛(純愛)34ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
筆耕士の希はダンススクールのパーティで中学の同級生・徹志と再会。 その勢いで一夜を共にしてしまう。 希がほかの女の影を感じ「何番目か」と問うと 彼は「4番目」と言った。 表紙イラストはちょめ仔様に描いて頂きました 2022.04.22
断捨離出来ない私たち

総文字数/1,043

恋愛(純愛)1ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
いつでも捨ててやると思ってるのになかなか捨てられ無い女 3分で読める恋愛小説です。 2022.04.17

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop