紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
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「灯さん、何か元気なくないですか?」
「……え?そんなことないよ?」
「深町さん、お疲れっすか?」
「……いや、そんなことないけど……」
「おや、灯ちゃん。今日食欲ないのかい?」
「……あります!めっちゃあります!」
「それにしては食べっぷりにいつもの覇気がないねぇ」
「………。」
珠理ちゃんに佐原くんに食堂のおばちゃん。
私は至って通常運転のはずなのに、なぜかめっちゃ労られて、珠理ちゃんからはチョコ、佐原くんからは栄養ドリンク、おばちゃんからは唐揚げのおまけを(ってこれはいつもだけど)恵まれてしまった。
挙句の果てには……。
「あれ、マッチ、夏バテ?」
「してないし、そもそもまだ夏じゃありませんから!」
ここまで続くとさすがの私も食い気味で突っ込んでしまう。
まだ梅雨入りもしていない6月の頭。
暦の上では夏に分類されるのだろうけれど、ここは断固否定させてもらいたい。
「もうっ、今日は何なんですかみんなして!」
どかっ、とカウンターのいつもの席に腰を下ろせば、私におしぼりを渡しながら比呂さんは苦笑い。
「荒ぶってんなぁ、マッチ。つーか今日1人?……って、ああ、恭加さんまだ出張中か……。ふーん?」
「……何ですか」
何か言いたげな表情でニヤリと意地悪く口角を持ち上げた比呂さんを、私はジロリと睨んだ。