紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
「深町さんの場合はバッチリメイクをするというよりは、素材を生かして少しずつ足していくナチュラルな感じのメイクの方が合うと思うんですよね。うーん、そうなるとアイシャドウとチークは……」
言いながら一旦コスメカウンターを離れた高木さんは、しばらくしてアイシャドウとチークを手に戻って来た。
「アイシャドウは、例えばこんなパレットはどうでしょう。ココアブラウンとローズピンクが入っているので、お仕事の時はココアブラウンをメインに、デートなんかの時にはローズピンクをメインにグラデーションしていくと可愛いと思いますよ」
「あー!絶対可愛いです、それ!」
隣で頬杖をついて私がメイクされる様子を眺めていた珠理ちゃんが、顔を輝かせた。
「今日はせっかくなのでローズピンクの方をメインにしてみましょうか。チークは白くて透明感のあるお肌が際立つラベンダー系のピンクで……」
その後もマスカラやアイラインなど一通りのメイクを施してくれた高木さんは、「どうでしょう?」そう言ってカウンターの上にあった鏡をこちらへ向けてくれた。
メガネを掛けて覗き込めば、鏡の中の見慣れない自分と目が合う。
「……本当、珠理ちゃんも高木さんも、魔法使いか何かですか」
目をまん丸にしてついこぼれた私の第一声に2人は顔を見合わせて笑うけれど、私の顔をこんな風に出来ちゃうなんて、驚かない訳がない。