紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
艶々の陶器みたいな肌に、ほんのり色付いた頬と唇。
目元はアイシャドウとアイラインのおかげか立体感が出て、メリハリがついてる気がする。
でも決してやりすぎ感のないナチュラルさ。
珠理ちゃんに初めてメイクしてもらった時も驚いたけれど、今日のこれはさらに衝撃が大きかったかもしれない。
「灯さんは、まだ自分のポテンシャルに気付いてませんねぇ」
すると珠理ちゃんがふふ、となぜか得意げに笑う。
「あくまでメイクはその方の魅力を引き出してあげるためのものですからね。私はちょっとそのお手伝いをしただけですよ」
高木さんも、優しく微笑んでいる。
メイクは魅力を引き出すためのもの……。
高木さんのその言葉に、私の胸がコトリと音を立てた。
実は珠理ちゃんにメイクをしてもらうようになってから、一応自分なりにメイクの仕方を変えてみてはいた。珠理ちゃんの見よう見まねで。
かつて珠理ちゃんに"してるんだかしてないんだか分からない薄いメイク"と言われた頃よりもマシになったとは思うけれど、でも珠理ちゃんがやってくれるようにはもちろんならなくて。
だけどもし、これが魔法でも何でもなくて。自分でも自分のことをこんな風に綺麗にしてあげることが出来たなら、私は少しでも自分に自信が持てるようになるだろうか。