紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
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「あー、灯さんっ、これ可愛くないですか⁉︎」
「う、うん、可愛いね?」
「あっ、こっちはちょっとセクシー!どうです⁉︎」
「……いやいや、私には無理でしょう……」
「じゃあこれは⁉︎」
「え、もっと無理。何、その布面積の少なさ……。下着の意味ある……?」
次から次へと私に宛てがわれるカラフルな下着たち。
ファッションフロアでオフィスカジュアルからデート服まで、まるで着せ替え人形のように珠理ちゃんや店員さんの見立てで試着を繰り返し、それぞれ何着か購入した後。
ちょっと遅めのお昼休憩を挟んで連れて来られたのは、どこに目を向けても色とりどりの商品が綺麗に並ぶ、コスメフロアに負けず劣らずキラキラしているランジェリーショップだった。
「ねぇ、ところで珠理ちゃん……。果たして下着まで買う必要は、あるのかな……?」
すすす、と静かに後退りながら珠理ちゃんに問う。
「何言ってるんですか!大ありですよ!だって灯さん、最後に下着新調したのいつですか⁉︎」
「えっ……?う、うーんと……」
そう言われて思い返してみると、ここ数年下着を買い替えた記憶はない。
「さては、その下に着古したヨレヨレの下着を隠していますね……?」
「うっ……」
ヨレヨレ、とまではいかないと思うけれど(多分……)、着古した下着、というのは正解だ。思わず両腕で胸の辺りをまさぐってしまった。
「やっぱり!見えないところも油断してたらダメですよーっ」
私が肯定せずとも察した珠理ちゃんは、腰に手を当ててぷりぷりお怒りモードだ。
「可愛い下着は、つけてるだけで女子力アップするんですから!(それに、これからいつ見られる機会が来るとも限りませんからね……!)」
と思えば急にくふふ、とほくそ笑む。