紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】







「はぁ……、ついに念願が叶いました……!」

「そんな大げさな………」


18時。就業時刻と共に半ば強引に連れ込まれたのは資料室や備品管理庫なんかがある階の、普段あまり使用する人のいない女子トイレ。

メイク道具片手に目をキラっキラさせて呟いている珠理ちゃんを前に、私はまさに今まな板の上の鯉(コイ)状態で突っ立っている。
 
でも私の顔をまるでキャンパスのようにしていろいろな道具を駆使し、瞼(マブタ)に頬にと色を乗せていく珠理ちゃんは生き生きしていて本当に楽しそう。


「それにしても……。人の顔にこんな風に器用にメイク出来るのってすごいね。私なんか、自分のですらままならないのに」


心の底から感心してそう漏らせば、珠理ちゃんが笑った。


「ふふ。私3姉妹の末っ子で、1番上の姉が12個離れてるんですけどヘアメイクアップアーティストやってて。その影響で昔からこういうの大好きなんですよねぇ」

「3姉妹の末っ子……」

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