紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
なるほど、そうだったのか。
珠理ちゃんの、天真爛漫な感じとか自由奔放なところなんかは確かに末っ子っぽいかも。
彼女を見ているときっと愛情たっぷりに育ったんだろうなぁ、と想像出来る。
「さ、灯さん、髪もちょっと弄らせてもらいますねー」
「えっ⁉︎髪も弄るの⁉︎」
「当たり前じゃないですか。メイクとヘアはワンセットなんですよ!」
おしゃべりしている間にも着々とメイクを仕上げていた珠理ちゃんは、今度は1つに引っ詰めていた私の髪を解いて丁寧に梳かした後、ミニヘアアイロンで緩く巻いていく。
ちなみにミニヘアアイロンは彼女のバッグの中に常備されているらしい。さすが、女子力の高い珠理ちゃんだ。
そして巻いた髪を、手が込んでそうに見えて実は簡単に出来るというハーフアップに纏めあげた珠理ちゃんは、
「はい、完成です!灯さん、どうですか?」
鏡越しに私を覗き込んだ。
「……う…わ、これ、私……?」
外していた眼鏡をかけ直して見てみれば、あまりにも見慣れない私が鏡の中にいたから驚いた。
地味な私はどこに行っちゃったんだろう。そのくらい雰囲気がまるで違った。
でも決して派手な訳ではなく、とてもナチュラル。
こんな短時間で、すごい……。